―― 後日談として ――
陽泉高校を卒業して、3ヶ月が経とうとしていた。 大学の合宿所で新しい生活を始めた劉の元に、一通の封書が届いた。差出人は、高校で同じクラスだった女子だ。卒業前だったか、住所教えて、というメールが届いたので返信していたのを思い出した。 大きめの封筒の中には、冊子のようなものが入っている。取り出したそれは学校で一学期に一回程度発行されていた広報誌のような作りで、表紙には『卒業式アルバム』というタイトルと、卒業式の日の校門の写真が載っていた。 そういえば卒業式の日にすでに卒業アルバムをもらってはいたが、当然のことながら、卒業式の風景は写っていない。同封された手紙(個人的なものではなく、印刷されたもの)には、それがアルバム委員と3年の先生方で編集した旨や、費用については卒業式の日に保護者向けに配布した学校の会計報告に記載済みである旨が書かれていたが、そんな手紙は見るまでもなく捨ててしまっていたし、仮に親に見せたところで劉の両親が読めるはずもない。どうでもいい事だと印刷された文字は適当に読み流したが、その下の空欄には、差出人である女子の直筆の文字があった。
『 劉、元気?打ち上げのカラオケ楽しかったね。 みんな劉のことが大好きだったよ! 日本にいるって言っても秋田まで来るのは難しいかなぁ? いつかまた、会えることができたら嬉しいです。 バスケ頑張れ!! 』
何かと世話を焼いてくれた彼女を思い出すと、懐かしさ以上に元気が湧くような。そんな彼女がアルバム委員だったことを劉は今さらながらに知った。 表紙を開くと、まずは卒業式の風景が載っていた。卒業証書授与の様子や、送辞や答辞を読む生徒の姿。起立して校歌を歌う姿や、退場する姿が写っている。 そしてさらにページを開いたところで、1枚の写真が劉の目に飛び込んできた。 上部には、星にかけているのか 『バスケ部のスター』 下部には、 『 IH ・ WC出場の立役者』 というコメントが書かれていた。
涙が零れた。止め処なく。 誰にということではなく。 「アリガトウ・・」 大きな体を小さく震わせて。
おしまい
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