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「あ・・タイガ、そこ、イイ・・」

「・・ここか?」

「そう、そこ・・タイガのが当たってすごくイイ・・」

マンションの住人・火神大我がソファに座り、それに向き合う形で氷室辰也は火神に跨っていた。氷室の尻には火神のペニスが埋まっている。上下の律動でも十分に感じるが、腰を少し前後させたときに火神のペニスが当たる前立腺への刺激は、より一層堪らない。氷室は自ら腰を前後に揺らし、「あっ、あっ・・」と何度も声を上げた。その声と表情は、火神の欲望をさらに駆り立てる。

「タツヤ、エロすぎ・・」

「やっ・・あぁ・・っ」

背を抱いて、火神は氷室の胸へと顔を寄せ、小さな突起を口に含む。氷室は背をのけ反らせてさらに大きな声を上げた。

「タイガ、それイヤだって・・」

「んな声出しといて何言ってんだよ」

「ン・・だから・・気持ち良すぎてオレ、すぐイっちゃいそう・・」

「いいよ、イけよ」

「・・は・・っあ、あぁ・・」

舌で乳首を弄りながら律動を再開すると、氷室のペニスはより大きさと硬さを増した。それは痛いくらいに火神の腹に当たっていたが、溢れ出す先走りが増すとそれが潤滑剤となって、ゆるゆると火神の腹筋を擦るように上下し始めた。

「・・んん・・っ」

という声を境に、途切れることなく短い喘ぎを洩らしていた氷室の声が止んだ。何度も腹を突いてきた氷室のペニスは硬さを失い、火神の腹は氷室が放った精液にまみれた。火神はそれに構うことなく腰を動かす。再び氷室は声を上げ始めたが、ふと目を開いた瞬間視界に映った水色に、思わず息を止めた。

ドアの隙間から、見たことのある人物がこちらを窺っている。驚きに目を見開いた氷室と、同様に驚いて呆然とする黒子の目が、合った。二人はほんの数秒お互いを見つめていたが、やがて氷室は何事もなかったかのように視線を逸らし、また、火神とのセックスに没頭し始めた。







「ど、どうだった?」

AVだった?」

「それとも火神本人か?」

「相手は?師匠?」

矢継ぎ早の質問に、黒子はちょっと待ってください、と言って先輩たちに両の手のひらを向けた。まだ心臓がドキドキしている。少し、落ち着く時間が欲しい。

「このまま・・・」

「このまま?」

「このまま何も見なかったことにして帰りましょう」

「・・・はぁ?」

「何言ってんだよ」

AVでも火神でもアレックスさんでもなかったとか?」

「ま、まさか・・火神の親父さん・・・」

「そっ、それはマジでヤバいだろ!」

「・・い、いえ、火神君でした・・けど、アレックスさんでは・・・」

「げっ・・まさかあいつ、彼女いたの?!」

「彼女では・・ないです・・・」

「は?師匠でも彼女でもなきゃ何なんだよ黒子、一体何を見たんだよ」

「やはり何も見なかったことにして・・・」

「いーよもう、水戸部〜、見に行こうぜー」

小金井は水戸部の袖を引いたが、水戸部はふるふると首を横に振ってそれを拒んだ。

「木吉、お前行けよ」

「うーん、でもなぁ、やっぱり覗き見はよくないんじゃないか?」

「だって黒子の説明じゃ人間だったかすらわかんねーんだもん」

「実は未確認生命体なんじゃない?」

「んじゃもう、全員で行くか」

言いながら伊月が一歩前に出て、皆が後に続こうとする。

「い、言います!言いますから!みんなで見るのはやめてあげてください、火神君のためにも、相手の方のためにも!」

黒子は慌てて先輩たちを止めた。今までに見たこともない黒子の必死な様子に、先輩たちはとりあえず思い留まった。

「で?結局火神と?誰だったんだ?」

「・・陽泉高校の・・氷室さんでした・・・」

「・・・・・・はい???」

「・・・・えーっと???」

「エ、エロDVDでも見てたのかなー?」

「だからテレビ点いてないんだろ?」

「マ、マッサージでもしてたとか?なぁ、黒子?」

「あ、はい、そうです、そんな感じです」

「だったらお前がそんなに焦る理由がねーよなぁ?」

「・・・・・・」

「・・・・言え」


相手がアレックスか、そうでなくともせめて女性だったらあっさりと「彼女とセックスしてました」と言って、早熟なチームメイトを妬みながらも覗きなどしようとはせずに全員退散していたであろうものを。焦って止めたのは寧ろ逆効果だったのかもしれない。或いは嘘でも「彼女みたいです」とでも言っておけば良かったのに、驚きのあまりそこまで頭が回らなかった。誰もがもう、すでに予測しているだろう。黒子は心の中で、「ごめんなさい火神君」と何度も繰り返した。


「何を見た?」

「ナニを・・してるところを見ました」

「ナニってなに?」

「小金井、キタコレそれいただきっ!」

「伊月黙れ」

「火神と・・氷室・・・か」

「ま、まぁ、性癖は人それぞれだし、黒子の言うとおり何も見なかったことにしてこのまま帰ろうな?あいつらだって知られたくないだろうし」

「・・あ・・・・」

先輩に何と言おうかと焦るばかりに忘れていたが、知られたくないだろうし、という言葉を聞いて思い出した。

「どうした?黒子」

「ボク、氷室さんと目が合ったんです」

「え?」

「マジ?」

「気付かれちゃってるのか?」

「火神君はボクに背を向けてソファに座っていたので気付いてないと思うんですけど、火神君に跨ってる氷室さんとは目が・・合いました」

「・・ちょ、も少しオブラートに包んで言えよ」

「体位が想像できちゃうだろーが・・知りたくもねーけど」

「で、どうしたんだ?」

「目を逸らした後も、そのまま行為を続けてました」

「行為って・・生々しいな・・ったく」

「どういうつもりだ?」

「わかりません」


う〜〜ん、と誰もが悩んでいる、そのときだった。






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